2019/07/11

4日目 盛岡

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車の中で起床したのは05:30。寒い。
太陽も出ていないし、その寒さで逆に盛岡に来たことを思い起こされたフシがある。

身体が起動するまで、少し時間をかけてボケッとしたり、タバコを吸ったり、ちょっと近くを歩いてみたり、でもやっぱり寒いから戻ってきたり。
戻ってきてためしにスーパー銭湯を検索してみたら、わりと近くにあって早朝〜昼までなら安く利用でき、なおかつ朝の5時から営業しているという、まさにジャストな存在を発見したため、ちょっとまだ完全に目が覚めていないが、車の少ない大通りを超スロー安全運転で慎重に向かう。
駐車料金は400円だった。



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06:40に到着。まだ早い時間なのにかなり繁盛している。
朝風呂料金は500円。ほんのり硫黄が香る大きな湯船に1時間近くかけてだらだら入浴し(いちおう天然温泉らしい)、体重を量ったら2日前の夜から0.8kg増えていた。

風呂上がりに水分を補給したりして、およそ目が覚めたなという実感を得て9時過ぎに出発。

本日は盛岡市に滞在して、観光らしきことと、夜の飲み歩きをする日に決めた。いちおう盛岡は今回の大目的地の1つだからな。
で、昨晩にバーのマスターにいろいろ教えてもらった観光地の中から、龍泉洞という鍾乳洞に行こうと思っていた。片道80kmくらいあるのでほぼ半日以上費やしてしまうのがネックだけど(岩手県って、マジでかい)、いちばん興味をそそられたので。

なので水を汲んでから、そちらへ向かうことにする。






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わりと市街地に近いところにあって、意外。手慣れた手順でペットボトルを満たしたが、あまり冷えてなくて、少し爽快感に乏しく感じた。まあケチくさい貧乏旅行者が贅沢いう身分でもないんだけど。




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さて、龍泉洞へ向けて車を進める。

往復160kmというのを踏まえてガソリンの残量計と照らし合わせ、ちょうど盛岡に戻ってくるくらいに空っぽになるだろうから、このトンネルを抜けたところにあった安いガソリンスタンドで満タンにしようと算段してたんだけど、片道80kmのうち60km以上がアップダウンの激しいワインディングな山道で、またたく間にガソリンが減っていって冷や汗をかいた。山道なもんで、スタンドもぜんぜん姿を見せない。

ギリギリでスタンドが見つかり、1000円分だけ入れてJAFのお世話になることはなかったが、そんなわけでそちらにばかり意識が行っていて、この道中の運転のことはあまり記憶にない。







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山の中腹にある龍泉洞に到着。時刻は11:00。
当然空腹なので、洞に入る前に腹に何か入れようと、観光会館を兼ねているこちらの食堂に。

どうでもいいんだけど、この建物と駐車場のあちこちにスピーカーが有って、昭和のポップス楽曲が絶え間なく垂れ流されていた。こういうの、流さなきゃ誰かに文句言われるのだろうか?
大江千里の「ほぉっとけないよ〜」とか、昭和のブリブリのアイドルソングとかだ。ひと昔前のスキー場で流れてた感じの。バブルの頃みたいな。

いろいろな考え方があると思うけど、個人的には絶対に流さない方が良いと思う。せっかく自然が育んだ大きな奇景が目の前に迫っているんだから、その雄大なスケールや観光客のワクワクをぶち壊すような、チープで商業的なムードは出来るだけ排除するべきだろう。

百歩譲って、どうしても何か音楽を流したいなら、神秘的な、洞窟的なインストゥルメンタルだ。イリュージョンが行われる時に流れるような。ネットカフェの快活クラブで流れてる、よく分かんないあーいう系統のやつだ。




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山菜そば 650円。
朝蕎麦はやはり身体がスキッとする。いちおう1日1麺もこれでクリアだ。
味は可もなく不可もなく。龍泉洞の水というのも、とくに個性は見て取れず。とりあえず、人心地がついた。


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では、いざ入洞。


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入口のすぐ脇に小さな川が流れていた。かなり水が澄んでいる。
せせらぎの音が耳に気持ちよく、風は爽やかで冷涼。余計なBGMさえなければ、気持ちが洗われるようだ。


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入洞料は1000円。これが高いか安いかはまもなく判明するだろう。





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洞窟の中はとても暗くて、照明は最低限に抑えられている。もっと自然の状態が残されているのかなと思っていたけど、あちこちに事故防止の柵や壁や床が設置されている。客の安全に配慮してるんだなとも思うし、かなり人工的な建設物みたいだなとも思った。

洞内の気温は10℃、湿度は90%。外気も涼しかったが、10℃以上低い。クーラーのサーモスタットが馬鹿になったんじゃないかってくらい冷えている。
昨夜のバーのマスターに言われていたのでパーカーを着込んできたけど、大正解だった。やはり地元の人の忠告はタメになる。


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人工的な意匠は照明の色にも現れている。真っ暗に近いからそもそも岩肌はよく見えないんだけど、こんな色で雰囲気を演出してますよ的な、どこかの誰かの意図らしきものが見え隠れしているように。
ひょっとしたら、SNS映えみたいなものも狙っているんだろうか。


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地底湖があった。周りは暗くて水面があって人工物のライトがあって水奥の色があって、それぞれピントを合わせる距離が違うので何枚撮ってもピンボケする。詳しい人は上手いこと撮るのだろう。


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洞内の急激なアップダウンも、人類の情熱的な構造物で見学しやすくしてくれている。
順路の中盤以降は階段が縦横無尽に走っているので、それらの登り降りで、気温は低いがけっこう身体が温まった。

天井のあちこちから、様々なインターバルで雫が落ちてくる。これに対する人工的な防御もあちこちに張り巡らされているが、それでも頭や服に掛かることを防ぎ切れない。あまりお洒落してくる名所ではないと思われる。
ただの水ならまだマシだが、おそらく石灰成分というか、カルシウムとかのミネラル成分が溶け込んだ雫だろうし。


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コウモリが棲んでいるらしい。明け方から夕方はこの穴の中でジッとしていて、天然記念物なので手出しはできないみたい。穴を出入りするところを見てみたいものだ。



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順路の後半に至って、当てられてる照明の中のいくつかに、ゆっくり時間をかけてちょっとずつ色が変わっている照明があることに気づいた。



洞内の全容はまだ解明されていなくて、まだまだ人類未踏の奥の奥が広がっていると見られているようだ。現時点で調査された延長は4km以上で、観光客が見学できるのはおそらく1kmに満たないと思う。自分はゆっくり歩いて40分くらいかかった。
山口県の秋芳洞(子供の頃行ったが、全然記憶にない)、高知県の龍河洞とともに、日本3大鍾乳洞とされている。

自然が長い時間をかけて育んだ造形美も見事だが、ここまでして観光に向けた施設にしてやろうという人間の情熱も見事だ。
人によっては、何回も見に来るところではないかもしれない。2度目はあまり感動はないかも。
でも生まれて初めての1回目は、なかなかアリじゃないかなと思った。なので自分的には、1000円という料金は納得できる。駐車料金が無料なのは偉い。




車を出して、再び盛岡へ車を進める。来た道と同じ道を走るのはあまり面白くないがしょうがない。
無事に盛岡へ戻りつき、来しなに狙っていたスタンドで満タンにする。リッター134円で入れられてご満悦。








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14:30。
繁華街の中心部にある駐車場へ車を入れ、昨晩のバーで教えてもらった店に冷麺を食べに行く。岩手県で有名なチェーン店はいちおう事前に押さえてきたが、この店は全くノーマークだった。


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冷麺 950円。

牛肉のダシ(たぶん)が効いた冷たいスープに、硬めのコンニャク(という例えが適当かどうか難しい)といった食感のモチっとした弾力バケモノな麺がチュルチュルシコシコと歯応え楽しい。
具はキムチ、キュウリ、タマゴ、そして牛肉を干したような、柔らかめのビーフジャーキーみたいなの。いっけん味がスカスカの抜け殻みたいな干し肉だけど、噛んでるうちにギュウっと旨みのエキスが出てくる。
これが冷麺に合うかどうかは判定が難しいと思ったけど、こういうもんなんだと開き直って楽しんだ。

お酢を多めに流し回して、酸味を強めにすると、いろんな要素の味わいがパラダイス化して、なんだかゾーンに入ったような体験。自分は自分が思ってるよりも麺が好きなんだなと思い直す。
とても美味しかった。950円というのは少し高めかなと思わないでもないけど、この店は基本的に焼肉屋であるので、冷麺ばかり食べられたら商売上がったりなのかもしれない。






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さて、とりあえず腹もある程度満たせたし、とりたててすべきこと、行きたい場所がなくなったので、車を駐め直すことに。飲み屋街に近くて24時間料金の安いところが全て満車なので、少し離れた所へ。


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そこから2時間近く、昨晩少し歩いた飲み屋の多いエリアを散策。
このヒーロー、秋田県の平和も守ってやがったな。あっちにもこっちにも良い顔する奴だ。あんまり信用できん。

昨晩歩いたときに気になったお店がいくつかあったので、記憶を探りつつエリアを探索するが、まるで見つからない。その後グーグルマップと記憶の合わせ技でなんとか数軒のお店の発見に至るが、その後歩き回るうち、それらのお店の位置関係がまた泡のように怪しくなってなかなか記憶に定着せず、やたらと歩くハメになった。
街の構造が俺の感覚とマッチしにくいデザインなのか、あるいはただ単に俺がボケているだけなのか。



17時になって、多くの飲み屋が営業を開始。その中には自分が気になっているお店も含まれている(歩き回るうち、入ってみたいお店が増えていった)が、こんな時間から飲み始めたら21時くらいにはもうベロベロで、そこから寝たら朝の3時とかに目を覚ましてしまって途方に暮れること請け合いなため、一旦駐車場に戻ってきて、仮眠できないかどうか小休止。

飲み屋街の中心に近い位置にはネットカフェもあったんだが、そちらに入るとあれやこれやネットに勤しんで、とても寝ていられなくなる。




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結果、思ったより眠れた。17〜19時の間に1時間は寝れたと思う。これは大きい。
歳を取ると、本当に眠りが浅くなって辛い。満を持して飲みに出る。






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夕方に歩き回ってたうちに2軒のお店を1軒目の候補に絞り込んでいて、駐車場から近かったこちらに決める。日本酒が豊富そうだ。
そして今どきは、日本酒に凝っているお店は禁煙のとこがとても増えているので、2軒とも吸えることを事前に確認済み。ネットって便利だなぁ。


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店内はわりと閑散としていた。時刻は19:45。
生ビールはキリン ブラウマイスター。付き出しはオカラ、貝のワサビ漬け、山菜とキノコ炊いたやつ。
4連チャンの飲酒になるが、冷えたビールが美味しい。昨晩はそこまで量は飲んでないからな。


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ビールでアテをつまみながら、日本酒リストに目を走らせ大検討に入る。
上が岩手県のお酒ばかりで、下は近畿地方のリストだ。他にも「東北」「北陸」「甲信越」「中国四国」みたいに、たくさん有った。思ってたよりも多くて、嬉しい悲鳴を上げながら飲むお酒を絞り込んでいった。

知らないお店で飲む楽しみは、こうしてその店の個性である品揃えから、お酒の進行を組み立てていくところにもあると考えている。


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夏野菜の揚げ出し豆腐と、豚の角煮。

揚げたての豆腐と野菜を、作り置きしていた餡を温めて作りました的な一品。これは褒めている。揚げたては美味しいからだ。
酷い店になると、レンジで温めて出すだけみたいなところもある

いっぽう角煮はまさに、温めただけという料理だろう。肉身がぱさついているし、全体的な香りも頼りない。
しかし腹は立たない。これ、メニューの中でもかなり安かったからだ。それって誠実な商売かな、と感じる。

久しぶりに、四足歩行肉のしっかりした料理を食べたな。この4日間、ラーメンのチャーシューと冷麺の謎肉しか食べてなかった。


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結局、全部岩手県のお酒で行くことにした。全国のお酒が数多く揃っていて素晴らしいラインナップだったけど、多すぎて選びきれないので。

八重桜 純米吟醸 秋田酒こまち。
おとなしくてモダンな味。香りや旨味は控えめだけど、きれいに調律されていて無粋な雰囲気もなく。良くも悪くも、自分が抱いていた岩手っぽいお酒らしくない。


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和らぎ水も当たり前のように提供される。選んだボトルを目の前にしばらくディスプレイしてくれたり、和らぎ水が出てきたりと、相当日本酒に拘っているお店であることが見て取れる。


続いて吾妻嶺 純米 美山錦(写メ撮ってなかった)。
香りにかすかな泥臭さ、しかし飲み口は面白い個性、だらしない旨みというか、やんちゃな楽しさに少し強めの酸がアクセント。飲み手を選ぶお酒だと思うけど、個性が光るその精神は支持したい。


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赤武 純米 SEA。
ウマい。旨味の乗りがいま1歩、いま半歩届いてないが、甘みと酸味のバランスがエレガントで、ほんのわずか微発泡していてキレがある。かなりオシャレで見事な出来栄え。


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タクシードライバー 純米生原酒。ちょっと前からあちこちの酒屋で目にすることが増えた、名前だけは知っていたお酒だ。
ちなみにこの店で飲んだ日本酒は、全て初めて経験するお酒だ。

辛口志向の、これまでの3杯に比べると攻め際の強いタッチ。純米原酒だけあって、この蔵が追求している姿のようなものがなんとなく見えてくる。
正直なところ、自分の好みとはいささかベクトルが違うようだ。でもこれはこれで、丁寧にしっかり造られているんだろうなというのはなんとなく判る。


身の周りには、計6人くらいしか他の客がいなかったけど、自分が居る間に15人くらいが奥から出てきて帰っていった。見えないところに座敷とかあるのだろうか。

あんなに腹が減ってたのに、2皿でなぜか腹がパンパンに。脳が疲れているのかもしれない。
4,309円。テーブルチャージが¥580と少しお高めだが、日本酒は半合ながら430、390,660、480と、良心的な価格だった。
目の前の調理場にはあまり店員がいる時間はなく、たまにやって来て作業してまたどこかへ行ってしまう感じ。そのため誰とも喋らず、黙々と飲み食いしていた。こっちが無愛想だから、あまり近寄りたくなかったのかもしれない。



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再びふらふらと歩き出す。ライブハウスなのか何なのか、若い人が大勢出待ちをしていた。誰か有名な人なのだろうか。





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昼の下見で有力なバーを数軒頭に入れておいたのだが、やはり街の作りが俺に合わないのかどっちに行ったらいいのか判らなくなり、適当に歩いて見つけたこちらのバーに入る。
ここは凄かった。


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古き良き時代を感じさせる店内は人工的な歴史ではなく、まさにゆっくりゆっくり作り上げられてきた時の流れを感じさせる。
L字型のカウンターのいちばん奥に先客が1人。なので自分は手前から2つ目くらいの席につこうとしたんだが、マスターとお客さんに「こっちにどうぞ。」と奥に誘われる。
(なんだよ、空いてんだから好きなとこ座らせろよ)と思ってしまったが、マスターがかなり高齢で、おそらく1ヶ所に客を集めたほうがいろいろ都合がいいのだな、と5秒くらいで察知。さすがに隣は窮屈なので、1席空けたイスに腰を下ろす。
マスターではなく、そのお客さんがオシボリでテーブルを拭いてくれる。このお客さんがかなりの常連さんだということがなんとなく分かった。
もちろんお客さんが居ないときはマスターがそういうことをするのだろうけれど、それくらいマスターが高齢で、また常連さん達からリスペクトを払われている店だということだ。


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ブルドッグ。「むかしは”クレイハンド”とみんな呼んでたやつね。」とマスターから注釈が入る。

いろいろ岩手のことだとか、俺の地元の土地柄なんかについて会話させてもらった。詳しく訊いていないが、創業50年以上であるといった会話が常連さんとの間にあったのだけぼんやり覚えている。


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クライヌリシュをトゥワイスアップで。ボトラーズじゃないボトルを見るのは何年ぶりだろう。
少し水の分量が少ないかなというバランスだが、強烈に美味い。

3杯めにタリスカー ストーム。ストームを飲んだのはひょっとしたら初めてだろうか。どことなく普段飲んでるものに比べてエレガントな趣があるように思えつつ、でも目隠しして普段飲んでるベーシックな10年とストームの両者を飲み比べても、どっちがどっちか判らないかもしれない。


2人組のお客さんが入ってきて、最初に居た常連さんが帰られる。しばらく2人で会話されていた(片方が常連さんで、もう一方の若い男性は初めて連れて来られた感じ)のでおとなしく飲んでいたが、マスターが俺のことを旅行で来られたと紹介され、会話することに。
いろいろ話したが、今日食べた冷麺の店のチョイスを褒められたり、明日行こうと思っているじゃじゃ麺の店の名を伝えたら「おお! 良いところ選びますね! 大正解ですよ!!!」と褒めて頂いたが、実はどちらの店も昨晩飲んだバーのマスターの受け売りだということは内緒だ。

明日行こうと思っている温泉についてもいろいろ情報やアドバイスを頂き、杯が進みそうになるのを意識して抑えて勘定する。このままじゃこの1軒だけで盛岡の夜が終わってしまう。

3,600円。おそらくマスターは70歳オーバー、ひょっとしたら80に近いかもしれないが、柔和で穏やかな雰囲気は崩さず、旅行者の俺のことをずいぶん気遣ってくれたように思えた。
少し耳が遠いので、ゆっくり大きな声で話さなければいけない。あと、たまに休憩しに行くのか、カウンター奥の扉の向こうに消えて、数分戻ってこなかったり。そんな所作も含めて、ゆるくて静謐な空気を店内が纏っている。常連さんも紳士ばかりだ。

昨日のバーも良かったけど、この店も素晴らしい。いつかまた再訪したい。いつまでもお元気でいてもらいたい。
なかなか岩手県に来る機会が難しそうだけど。






次なるバーを探して、再び漂流を開始。昼間にした予習は結局なにも役に立たないのだった。
次のお店が、おそらく盛岡の飲み納めだろう。日本酒とウィスキーでだいぶ酔いも回ってきてるし、寝不足で睡魔もヤバそうだし。

20分くらい歩いていただろうか、急激な尿意に襲われる。さっきのバーで済ましたところなのに。そのため、のんびり気楽に構えていた店選びに、追っ手に後を追われているような緊急性が生じてきた。


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そんなわけで、通常ならスルーする雰囲気のこちらの店に入ることにした。ちょっと若者がたむろして騒いでいるような印象がある。しかし背に腹は代えられない。


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いま書きながら調べてみて驚いた。昼の冷麺と今夜の3軒が、100m四方に楽々収まってしまう位置関係だったことに。あんなに歩いたのに、結局このエリアに吸い込まれるように戻ってきていたということか。何というピンポイントな飲み歩きだ。


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ギムレットをオーダーして、それが届くまで女性スタッフが間を持たせるためか、「ウィスキーはお好きですか?」と相手してくれる。半ば上の空で(そんなことよりトイレ行きたい! タバコ吸いたい!)って内心思ってた俺の挙動不審を感知したのか、「灰皿お持ちします」と言われたのには痺れた。なんとなく切羽詰まっていたのが明らかにダダ漏れだったのだろう。
灰皿を持ってきてくれたタイミングで、「トイレはどこですか?」と先手を打ち、ようやく落ち着きを取り戻すことができた。

席に戻って、あらためて店内を観察すると、満席に近い客の入り。先に心配したような客層ではなく、落ち着いた大人の飲み手ばかりだった。
ただ、俺のあとから俺の隣の席にやって来た常連らしきおじさんは、スコッチに詳しい自分をやけに周りにアピール、ていうかその女性スタッフに良い格好したくてたまらないのがダダ漏れだった。トイレとタバコの欲に震えていたついさっきの俺も、あんなみっともない雰囲気だったのだろう。

ギムレットは、だいたい初見のお店で出てくることの多い、やわらかくて飲みやすいテイスト。少し甘みがほんのり目立つかなという感じ。



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スプリングバンクを2杯目に飲もうと思ってたら、隣のその格好つけおじさんに飲まれたので転換せざるを得ず。そのためタリスカーを飲んで、最後にワイルドターキーを2杯。
左の画像は、最初に出してくれたビシソワーズ。胃を保護するために最初にどうぞというサービスだろうか。最後に帰る前に一息で飲み干した。

カウンターに8〜10人くらいは座っていたのかな。それに対してオーナーらしきバーテンダーの男性と女性スタッフの2名しか居ないのに、わりと頻繁にほぼ端の席であるこちらまで来て、それぞれが相手してくれた。ほっとかれたらほっとかれたで、勝手に飲むことには慣れているのだけど、こんなに気を遣ってくれるお店はあまりない。

とくに女性の方は何かと介護してくれて、まだこの店で働き始めて間がないということを会話の中で知った。「でも、、なんとなく、接客業を長くやってる方の雰囲気がありますね。」と思ったところを言ったら、最近までホテルに勤めていたらしい。今はこの世界にやりがいを感じているので、修行して成長していきたいと。
ひょっとしたら5年後10年後に、盛岡に素敵な女性が切り盛りする格好良いバーが出来てるかもしれない。


外から見た感じはカジュアルだけど、親しみやすさと共にかっこよさが同居するきっちりバー。尿意さえなければ入ってなかったので、俺の目もぜんぜん節穴だ。
マスターも人当たり柔らかく、相当デキる人間っぽいのに押しが強いということもなく、飲み手の心をほどくようなホスピタリティ。

彼との会話は主に、俺の地元の美味しいものを紹介させられたり(こっちが岩手の情報を知りたいのに)、あと明日にじゃじゃ麺を食べようと思ってると言ったら、香醤というお店をオススメしてくれた。こっちの店にも行きたいな。てか明日は何食食べなきゃいけないんだろう?


4,200円。きっちり接客なのにそれほどお高く留まっていない請求、これはお客さんで賑わうだろうなというお店だった。

盛岡で入ったBARは、3軒ともじつに素晴らしいお店で、すべてリサーチしてきたお店でもないのに、この引きの強さに震えるとともに、長い旅のどこかでハズレの店にもいずれブチ当たるんだろうなと、気を引き締めることも忘れなかった。




すっかり泥酔に近い状態で、マップを頼りに駐車場へ向かう。せっかくの旅飲みなのに、どうも睡眠不足になりがちで2〜3軒しか飲めず、その街を満喫しきれていないことが多い。
とくにこの盛岡は、気候が涼しくて(冬は厳しいのだろうが)良い店も多いっぽいため、いつかばっちりホテルを事前に手配して、できれば5〜7軒くらいがっつり飲み歩きたいな。

コンビニに通りかかった時に、ほぼ慣性運動でチューハイとハイボールを買い込んで車に無事に辿り着いたが、何も飲めずに速攻爆睡に落ちたのだった。
1時前後に盛岡の夜に幕を下ろす。
posted by らいた at 00:00 | Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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